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ADFEST視察レポート|若手社員が見た、アジア最大級の広告祭

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このたび、私たちLENSのメンバー数名で、アジア最大級の広告祭「ADFEST 2025」を視察する機会をいただきました。 ありがたいことに、入社1年目の私たち新入社員もそのメンバーに加えていただき、会場の熱気や創造的なアイデアに、ただただ圧倒される日々を過ごしました。

本記事では、そんな貴重なADFESTでの体験を経て、「若手目線」で、感じたこと・考えたことをエクスペリエンスデザイナーの川戸とデザイナーの富田からお届けします!

ADFESTとは?

ADFESTは、アジア最大級の国際広告祭です。
毎年3月にタイ・パタヤビーチにある会場で開催され、今年で27回目を迎えます。 参加者は日本人が多く、その他にもアジア各国をはじめ、欧米や中東など、さまざまな地域・企業から広告関係者が集まっていました。

開催期間は3日間で、主なプログラムは以下の通りです。
1.有識者によるセミナー
2. ADFESTにエントリーされた作品の展示
3. 若手クリエイターによるプレゼンテーション(Young Lotusなど)

有識者によるセミナー ADFESTにエントリーされた作品の展示 若手クリエイターによるプレゼンテーション(Young Lotusなど) 初日と最終日の夜にはパーティーも行われ、多くの“広告好き”なクリエイターと交流を深めることができました!

印象的だったセミナー

セミナーでは、企業の広告責任者やクリエイティブディレクターが登壇し、いまの広告が、どんなテーマや社会的な視点を大切にしているのか、「業界の全体感」を、肌で感じることができました。
また、音楽や最新テクノロジー、カルチャーなど、広告はもはや“広告”という枠を越えた表現へと広がっていることも、改めて実感しました。

川戸’s pick up
『THE Missing Link 』

このセミナーのテーマは「生成AI」。
今年のADFESTでは、AIに関する話題が多く取り上げられていましたが、
中でも特に川戸の印象に残ったのが、このセミナー。

プレゼンターは「生成AIの本領は“生成”ではなく、“拡張”」というメッセージを強く訴えていました。

たとえば、商品のデザインをクリエイティブの“トンマナ”に自然に落とし込んだり、
単に画像や音声を生成するだけではなく、「ストーリーや役割を理解し、それを再現すること」こそがAIの本質であるということを聞いて、たしかにそうだな…と。

AIはあらゆるものに、決まったストーリーを持たせることができる一方で、
そのストーリー自体を考えるのは、あくまで人間であるということを再認識できるセミナーでした。

最近の仕事でも、「これってAIに任せられる?」と考えることが増えたけど、
その問いの裏にあるのは、“自分にしかできないことは何か”を探す視点だなと。

私たちの仕事は、まだまだ知恵を振り絞って挑戦できる、楽しい仕事!
そんな気持ちを改めて実感できて、勇気をもらえた瞬間でした。

富田’s pick up
『The Collision of Sound & Vision』

引用:ADFEST 2025

主にグラフィックデザインを担当している私にとって、音を活かしたクリエイティブ事例はとても興味深く、印象に残りました。
特に印象に残った事例として『Play The Dew!』を挙げます。

「ゲームの効果音を全てDew!で表現する」というとてもシンプルなアイデアですが、ゲームが好きな方から中心に共感を得て、拡散されやすい施策だなと感じました。(是非動画でご覧ください…!)

ですが、自分がこのアイデアを思いついたとしても少し恥ずかしさが勝って、提案まで持っていけないかもしれない…と少し思ってしまいました。そこから、自分自身の考えの固さを実感し、殻を破ってもっと自由にアイデアを提案していこう!と考えました。

論理立ててアイデアを提案することも大切ですが、たまには自分の感性に頼ってアイデアを自由に出してみよう、そう思わせてくれる事例でした。

心に残った作品

会場では、すべてのエントリー作品のボードやビデオが展示されており、世界中から集まった多彩なアイデアに触れることができました。ADFESTでは、開催期間中に受賞作品が発表され、発表後、それらのボードには目印がつけられます。

残念ながら今回は、私たちがエントリーした作品は受賞には至りませんでしたが、会場に並ぶ数々の魅力的なプロモーション事例を見ているだけでも、とても刺激的で、私たちにとっては本当に貴重な経験となりました!

川戸’s pick up
『VIDEO VINYL』

引用:ADFEST 2025

再生すると動き出すアナログアニメーション「ゾートロープ」とレコードを融合させ、
“観ることができる音楽”という、新たな音楽体験をデザインで実現した事例。

古いもの、音楽好きの自分にはすごく刺さった…!
曲ごとに絵柄が切り替わるのも楽しい。

若者の間では、音楽を「視覚的にも楽しむもの」と捉える傾向が強まる一方で、
フィジカルな体験やアナログ的価値への回帰も進んでおり、
この一見、相反する2つの潮流を「レコード×ゾートロープ」というアイデアで見事に融合させた点が秀逸でした。

いいものって、形を変えて一周回ってまた流行るんだなと改めて実感。
そして、「絶対に交わらない」と思われていたものほど、交わったときのインパクトは大きい!

そんなことを改めて体感させてくれる、非常に学びのある事例でした。

富田’s pick up
『SAD KAMA-CHAN』

引用:ADFEST 2025

タイのBBQチェーン「BAR B Q PLAZA」の業績不振に対して、ニコニコ顔のかまぼこ「KAMA-CHAN」を、あえて悲しい顔に置き換えた施策。悲しさを前面に押し出すことで、ユーザーの共感を得るという仕組みは一見シンプルです。しかし、「悲しい」という感情をどのように展開していくかの手腕が問われるものだと感じました。

個人的にですが、小さな予算で大きな結果を生む様なアイデア勝負の施策を見ると、「かっこいいな〜!」と思います。ADFESTには規模が大きく、とても見応えのあるものが作品も様々ありますが、上記のようなアイデア勝負の施策もしっかりと評価されているところが、とても興味深かったです。

私も日々のクライアントワークやこのLENSの活動で、些細なアイデアから大きな結果を産めるように頑張りたいです!

Young Lotus のプレゼンで感じたこと

私たちが最も刺激を受けたのは、Young Lotusファイナリストによる登壇プレゼンテーション!
「Young Lotus」とは、28歳以下の若手クリエイターがペアで参加し、与えられた課題に対して企画を提案する、ワークショップ形式のプログラムです。各国の国内予選を勝ち抜いた代表チームがADFESTに招待されます。
会場では、その代表チームに対して新たな課題が出題され、24時間以内に企画資料を作成し、プレゼンテーションを行います。 そして、最後まで勝ち残ったファイナリストたちは、最終日にメインステージに登壇しプレゼン。 もちろん、私たちも会場でプレゼンを見ていたのですが、、、

約1,000人の観客を前に、同世代のクリエイターが自らの企画を世界に向けて、堂々とプレゼンする姿にとても胸を打たれました。
「私たちも、負けていられない!」 そんな思いが湧き上がってくる瞬間でした。

来年のヤングロータス選考にはエントリーをしますので、この記事を見て頂いてる方にも選考でお会いできればと思います!

さいごに

ADFESTでの3日間を一言で表すなら、“情熱”でした。

何より印象的だったのは、本気で自分の仕事を愛している人たちが、世界中から集まっていたことです。 もはや広告にとどまらず、音楽、各国の文化、テクノロジーに至るまで、あらゆる分野に対して、リスペクトと好奇心をもって向き合う姿勢が、会場全体にあふれていました。
その情熱に触れ、私たち自身も改めて、LENSでの仕事の持つ意義や可能性を強く実感しました。

ここで受け取った刺激を大切にしながら、これからの仕事の中でひとつずつ、自分たちなりの“答え”を形にしていきたいと思います。

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